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阪神 孤独死向き合う <朝日新聞2012年1月16日夕刊>
誰にもみとられず、息を引き取る「孤独死」。17年前の阪神大震災の被災者らが住む兵庫県内の災害復興公営住宅では、昨年までに700人を超えた。そうした人たちが残した遺品の整理を担う人たちがいる。
(中段略)
兵庫県西宮市の廃棄物収集会社「大栄」は、孤独死をした人が住まいに残した遺品を整理し、不要な物を処分する仕事も請け負う。屋宜明彦さん(32)は、担当になって3年になる。
昨年、会社が請け負った遺品整理は300件近く。このうち約30件が孤独死だった。復興住宅での整理もこれまでに3件あった。
屋宜さんも約40件の孤独死を扱った。昨年10月に神戸市東灘区のワンルームマンションで亡くなった高齢男性は死後2週間。カーテンを閉じた薄暗い部屋に洗濯物や食器が残っていた。
依頼してきた30代の息子は、電話口で怒っていた。
「死んだときだけ連絡が来ても困るんや」。仏壇もあったが、「何もいらんねん」と言われた。僧侶を呼んで社員だけで供養した。
男性は十数年前まで神戸の西の方で息子と一緒に暮らしていたという。震災で独り暮らしになった被災者かもしれないと思った。
屋宜さんは中学3年のとき、兵庫県宝塚市で阪神大震災に遭った。自宅の壁が崩れ、家族4人で公民館に避難。しばらくして近所の家に引っ越した。身よりのないお年寄りの家の片付けを近所の人と手伝ったこともあった。
いま、誰にも面倒を見てもらえずに亡くなった人に思いを寄せる。「震災後、地元に戻れず、孤立化してしまったのではないか」