リヴァックスコラム
第1回 制裁措置(ココイチ事件)について
一昨年の「重要通知」に続いて、再登場のBUNさんです。
これから1年間、皆さまからいただいた廃棄物処理に関するご質問、ご意見にBUNさんなりの見解を示していきたいと思っています。なお、あくまでもBUNさんの私見であり、実際の業務で疑問に感じる事態が生じましたら、地元の行政窓口で確認されることをお薦めしておきます。
毎月、1~2つの質問と、それに関する蘊蓄(うんちく、トリビア)をお伝えできればと思っています。
【質問内容】
質問1 昨年、某カレーチェーン店のカツの横流しが注目されたところですが、この某カレーチェーン店が横流しした産廃業者を提訴したと聞きました。これをどのように捉えたらいいのでしょうか?
【BUNさん見解】
質問者は「行政や警察もあるのに、なぜ提訴しなければならなかったのか?」という点が疑問に感じたのでしょうか。
行政は多くの場合、法令違反を見つけた場合は、まずは行政指導を行います。しかし、この行政指導というのは、法的強制力はなく、従わなくても罰則はありません。
では、行政の指示など聞かない方がいいのかというとそうではありません。行政指導に従わない場合は、行政は法的強制力のある「行政処分」をおこないます。「行政処分」には許可取消、事業停止、措置命令、改善命令などがあります。
しかし、この「命令」にも従わない人物が出てきます。そういう人達を放置しておけば、次からは誰も「命令」に従わなくなりますので、行政は「命令違反」として刑事告発を行います。
ここからは警察、検察という「司法」の仕事になり、以降は裁判を経て、有罪となれば「牢屋に入れ(懲役刑)」「罰金払え」となります。これが、刑事処分です。もちろん、悪質で直罰のある違反行為については、警察は独自の捜査を行い、一発で逮捕、検挙というケースもあります。
このように、一般的には法令に違反したときは、行政処分、刑事処分の対象になり社会的な制裁を受ける訳ですが、法令違反をしていなくても、他者に損害を与えてしまう場合が出てきます。法令には、違反していないのですから、行政も司法も基本的には動きません。当事者同士の問題だからです。これを解決する方法としては、民事訴訟ということになります。
【まとめ】
ご質問の事案は、社会的にも大問題になり、行為者に対しては改善命令や許可取消という行政処分もなされたようですし、詐欺罪や廃棄物処理法違反として検挙され、いずれは刑事処分も受けることになるでしょう。
しかし、この人物に処理を委託していたがために、ブランドイメージを傷つけられたり、受託者が撤去しなかった産廃を、二重に処理料金を支払って撤去した排出事業者にとっては、当事者が許可取消を受けようが、牢屋に入れられようが、自社が被った被害は救済されませんね。そこで、この損失に見合うだけの金銭を求める、というのが民事訴訟となる訳です。
復習になりますが、法令違反をした場合は、行政が行う行政処分、司法が行う刑事処分、そして当事者が白黒を付けるという民事訴訟といういろんな制度がある、ということでしょうか。
BUN(長岡)<(_ _)>(^-^)/