リヴァックスコラム
第十二回「規制権限の及ばない第三者」について
(略)市町村の規制権限の及ばない第三者が一般廃棄物の排出事業者と処理業者との間の契約に介在し、あっせん、仲介、代理等の行為を行うこと(以下「第三者によるあっせん等」という。)は、
一般廃棄物の排出者責任が不明確になるおそれがあること、
契約の実質的内容や契約に基づく一般廃棄物の処理の実態によっては、市町村の判断により法第7条第10項において禁止される一般廃棄物処理の委託行為に該当すると認められる場合があること、
実際の一般廃棄物の処理が市町村の一般廃棄物処理計画に適合しなくなる可能性があること等の理由から、市町村の処理責任の原則の下での適正な処理の確保に支障を生じさせるおそれがあるものである。(後略)
一見すると、この通知は「管理会社」等の介在を禁止しているように見えます。一般廃棄物の排出者責任が不明確になるおそれがあること、
契約の実質的内容や契約に基づく一般廃棄物の処理の実態によっては、市町村の判断により法第7条第10項において禁止される一般廃棄物処理の委託行為に該当すると認められる場合があること、
実際の一般廃棄物の処理が市町村の一般廃棄物処理計画に適合しなくなる可能性があること等の理由から、市町村の処理責任の原則の下での適正な処理の確保に支障を生じさせるおそれがあるものである。(後略)
しかし、通知の中身をよく精査すると、条文番号の引用がおかしいため、日本語として成り立っていない不思議な文書であることがわかります。
そのため、排出事業者と処理業者の間に介在する第三者には適用できない条文であるため、後段の説明が無意味となっています。
処理業者が他の処理業者に一般廃棄物処理を再委託することは禁止されていますが、「第三者によるあっせん」自体は法律で禁止されていません。それを説明したのが、下記の「平成6年2月17日付厚生省衛産20号通知」です。
(委託のあっ旋)
問1 汚泥の脱水の中間処理業を行っている中小企業等協同組合が二つあるが、この二つが中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)に基づいて合体し、一つの連合会を作った。
この連合会が汚泥の排出事業者からその処理の委託を受け、その処理をどちらか適当な協同組合に委ねる方法を考えているが、この行為は法第十二条第三項の委託基準違反になるか。
なお、連合会は一つの法人格を持つが、連合会自身に処理能力はない。
答 連合会が単に排出事業者と処理業者たる協同組合との間のあっせんを行っているのであれば、法第十二条第三項に違反するものではない。
問1 汚泥の脱水の中間処理業を行っている中小企業等協同組合が二つあるが、この二つが中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)に基づいて合体し、一つの連合会を作った。
この連合会が汚泥の排出事業者からその処理の委託を受け、その処理をどちらか適当な協同組合に委ねる方法を考えているが、この行為は法第十二条第三項の委託基準違反になるか。
なお、連合会は一つの法人格を持つが、連合会自身に処理能力はない。
答 連合会が単に排出事業者と処理業者たる協同組合との間のあっせんを行っているのであれば、法第十二条第三項に違反するものではない。
問の主旨は、「排出事業者は、処理能力の無い連合会に汚泥の処理を委託して良いか?」であり、「連合会は、2つの協同組合に汚泥の処理をあっせん(再委託?)して良いか?」ではありません。
その理由は、当時の法12条第3項は、現在の法第12条第5項に相当し、排出事業者に対する委託基準を指すからです。
それに対する答の主語は「連合会が」になっていますので、旧厚生省は、問を後者として理解していたものと思われます。
そのため、聞かれたことには答えず、聞かれていないことに答えるという珍回答になっています。
もっとも、現在では、問の内容とは無関係に、答の「連合会が単に排出事業者と処理業者たる協同組合との間のあっせんを行っているのであれば、法第十二条第三項に違反するものではない。」のみに着目し、「第三者が委託先業者の紹介やあっせんをしても違法ではない」という根拠として引用されることがほとんどです。