リヴァックスコラム
第2回 プラ資源循環法(2)
先月から始まりました「BUNさんに聞いてみよう」のコーナー。
皆さんが、日ごろから感じています廃棄物処理法に関する疑問、質問等を、私、リヴックス社の担当の「リヴ」がBUNさんと対話しながら深掘りしていくという企画なのですが、
皆さんからの質問を頂くまで、とりあえずこの4月から施行されました「プラ資源循環法」について取り上げています。
前回は「設計の段階での環境配慮」や「ワンウェイプラスチック」削減の取組について聞いたのですが、今回はどんな制度でしょうか。
はい、まずは製造者・販売者自主回収認定制度を紹介しましょう。
この制度は製造者や販売者が自分たちの会社で製造した物や販売した「製品廃棄物」や「製品の付帯物」などを自分で回収するという時は処理業の許可は要らなくなるって制度なんだ。
自分の廃棄物なんだから、そもそも許可なんか不要じゃ無いですか?
前回も見ていただいたけど、もう一度「物の流れ」を確認してみよう。
製品が生産者により製造され、物流を経て販売店に渡る。販売店はこれを消費者に売って消費者が製品を消費し、不要になった物が廃棄される。廃棄された物は廃棄物処理会社により処理される。
さぁ、この流れの中で「廃棄物の排出者」は誰かな?
それは消費者でしょ。
あっ、そうかぁ。
消費者が排出者なら製造者や販売者は排出者では無いってことになるのか。
そうだね。いくら元々は自分たちが製造した製品であったとしても、一旦消費者の手に渡り、そこから廃棄物となって排出される時は消費者が排出者だね。
だから、排出者が自分でその廃棄物を処理する時は許可は要らないけど、製造者、販売者がこの廃棄物を処理する時は処理業の許可が必要となる。
でも、21世紀に入った頃から「拡大生産者責任」という概念が出てきた。
拡大生産者責任って?
生産者は自分が生産した製品については安全に使用出来るように、といった生産者責任はあるけど、生産者は原則的には責任は無い。
でも、特に「製品廃棄物」と呼ばれるような家電製品などは、廃棄物になったときの適正な処理に関する知識や技術は、消費者すなわち排出者よりも生産者の方が持っている。
そりゃ、生産者の方が設計や材料の情報も持っているだろうから、消費者や市町村よりははるかに適正処理が可能だよね。
加えて、市町村や一般消費者が適正に処理しにくい「物」を世の中に送り出している生産者にも責任はあるんじゃないか、となった。
そこで、廃棄物の処理責任は原則的には「排出者責任」なんだけど、生産者にも一定程度の責任を取って貰おうという理屈が出てきた。
それまでの生産者の責任の範囲を超えて、廃棄物の処理にも責任の一端を担って貰おうって考え方か。だから「拡大生産者責任」なんだね。
そう、そこで、拡大生産者責任の理念に基づいて、生産者が廃棄物処理を行う時には、規制の緩和やメリットを設定する制度がいろいろと考え出された。
これは今までの各種リサイクル法にも規定されているよ。
そう言われれば家電リサイクル法では家電販売店が廃棄物となったテレビや洗濯機なんかは収集運搬業の許可がなくても運搬していますね。
その他にも食品、自動車、容器、小型家電リサイクル法にも「拡大生産者責任」の理念に基づいた許可不要制度が規定されているよ。
今回のプラ資源循環法の製造者・販売者自主回収認定制度もそうなんですね。
さっきのフロー図に書き込んでみました。
まだ認定された会社が無いので、仮の話として書きますが、
たとえば、家具製造メーカーの「池谷家具製造所」が自分の会社で製造した「家具」について廃棄された時に、独自の回収ルートで集めて、自社のリサイクル工場で再生家具の材料として再活用する、なんてケースが考えられるね。
当然、あらかじめ申請して認定を受けてからじゃ無いとだめだけど、認定を受けられれば一般廃棄物、産業廃棄物ともに処理業の許可が不要になるんだ。
一般廃棄物の許可も不要となると、家庭から排出されるものも対象にできるんですか。
さらに、今までの大臣広域処理認定では、自社の製品廃棄物しか対象にできなかったけど、この認定では同種のプラなら他社製造のプラも回収していいという制度みたいだね。
でも、現実には製造者が自分でリサイクルしてるってそうは無いよね。
そこで、この製造者・販売者自主回収認定制度は認定申請の内容として「委託してリサイクルします」として認定された場合は、その委託者、すなわちリサイクラーも許可不要となる制度も規定しているんだ。それが次の第41条第3項の規定。
これなら現実性があるよね。
さらに、第50条では「排出事業者認定制度」というのもある。
あれ?ちょっと待って。排出事業者ならそもそも許可要らないよね。
そうだね。この制度は排出事業者が認定申請をして認定されれば、その受託者が許可不要になるって制度なんだ。
ちなみに、廃プラスチック類は排出業種は限定されていないから、事業所から排出されれば全てのケースで産業廃棄物。だから、この排出事業者認定制度には「産業廃棄物処理業の許可不要」は規定されているけど、一般廃棄物については規定していない。
そもそも、一般廃棄物の廃プラスチック類はこの制度では対象外ってことだね。
でも、これだと今までの大臣広域処理認定と大差ないね。
そんな意見もあったのかな。実は、排出事業者認定制度にはもう一つある。
これが、第51条の認定制度で複数の排出事業者の廃プラスチック類を対象とするときは、受け手側のリサイクラー、すなわち処理業者側が自分で認定申請することができるみたいなんだよ。
へぇぇ、そうなるとさっき解説してくれた「拡大生産者責任」の概念から、さらに一歩踏み出すことになるよね。
そうと言えるかも知れないね。
いずれにしても、今やプラスチック類の対策は日本にとどまらず世界的な課題になった。新たな一歩を踏み出した制度かも知れないね。
なお、プラ資源循環法ではこの他にも「容器包装リサイクルルート活用」という「許可不要制度」もあるけど、それについてはまたの機会ってことにしましょうかね。
そうですね。
長くなったし、この話題は読者の皆さんからリクエストがあったときにつづきをお送りすることにして、次回は別の話題にしましょうか。
じゃ、皆さんまたね。