リヴァックスコラム

第28回 「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」について聞いてみよう その4

長岡 文明氏

リヴァックスコラム愛読者の「むつご」さんからのご質問を受けて、再資源高度化法を取り上げています。
今回は前々回、前回からの継続で、法律条文を確認していきましょう。
なお、条文の原文は長いのでネット等でご確認下さい。「BUNさん流簡略表現」になることをご了解下さい。

再資源高度化法逐条確認(第12条~第15条)

第12条は「高度再資源化事業計画の変更等」についての規定です。

「変更」行為は、「許可」や他の大臣広域認定やプラ資源循環法の認定と同じように、
大きく3ランクに分けられます。

一つは、認定取り直し。一つは変更認定。一つは変更届です。

通常、許可や認定は、その内容が大きく変わる場合は、取り直しです。
例としては、認定を受けた人物、法人が変わる場合です。Aさんが許可を受けていたとしても、Bさんがやる場合は、Aさんの許可ではダメですから許可を取り直す、というケースです。法人も認定を取っていた法人が清算等で法人格が消滅した場合など、新たな法人で取り直さなければなりません。
(例外的な措置として、承継や相続等の規定がある場合もあります。)

次に、「主たる要因が変わる」というケースでは「取り直し」までは行きませんが、新規申請とほぼ同じような手続きで「変更認定」となります。処理業許可の場合は、「取り扱う産業廃棄物の種類を追加する」等は変更許可です。

もっと軽微な要因、処理業許可では法人の役員の変更や使用する車両の変更などは「届出」となります。

この12条は「高度再資源化事業計画」について、これらの「変更」について規定したものです。
実際に認定を受けて事業展開するときには、重要な事項になりますが、法令が未だ施行されていない現段階では、とりあえずは飛ばして読んでも支障ないでしょう。と言うことで、条文掲載はしていません。

いよいよ「許可不要制度」のメインです。何度か紹介しましたが再度確認しておきましょう。

(廃棄物処理法の特例)

第十三条 認定高度再資源化事業者は、廃棄物処理法第七条第一項若しくは第六項又は第十四条第一項若しくは第六項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、認定高度再資源化事業計画に従って行う再資源化に必要な行為(一般廃棄物(廃棄物処理法第二条第二項に規定する一般廃棄物をいう。以下同じ。)又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分に該当するものに限る。第三項において同じ。)を業として実施することができる。

「高度再資源化事業者」として認定を受ければ、一般廃棄物、産業廃棄物ともに収集運搬業、処分業の許可は不要という規定です。では、第2項以降の詳細を見ていきましょう。

2 認定高度再資源化事業者は、前項に規定する行為(産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分に該当するものに限る。)を認定高度再資源化事業計画に記載された第十一条第二項第六号に規定する者に委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。

廃棄物処理法で定める処理基準の遵守については、後の条文で登場しますから、ここで規定している「政令で定める基準」がどのようなものになるかは、現時点では不明です。
想像するに、「廃棄物処理法では規定していない事項」でしょうから、「認定」に求められている「基準」の一つである「需要」などが出てくるのでは無いでしょうか。

3 認定高度再資源化事業者の委託を受けて再資源化に必要な行為を業として実施する者(認定高度再資源化事業計画に記載された第十一条第二項第六号に規定する者に限る。)は、廃棄物処理法第七条第一項若しくは第六項又は第十四条第一項若しくは第六項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、認定高度再資源化事業計画に従って行う再資源化に必要な行為を業として実施することができる。

この条項により、認定を受けた事業者だけでなく、認定事業者から委託を受けた人物、すなわち「受託者」も認定事業者同様に一般廃棄物、産業廃棄物ともに収集運搬業、処分業の許可は不要という規定です。
こういった規定の仕方は古くは小型家電リサイクル法の認定や、最近ではプラ資源循環法の製造販売者自主回収認定制度にもあります。

つまり、認定を受ける会社は、それなりの大企業で全国展開をしている会社。実際に再資源化(リサイクル)を行う会社は、廃棄物処理業(リサイクル業)の実績のある地元企業。
大企業が認定を取り、各地に所在しているリサイクラーに実際の処理は委託する、こういう事業形態を想定しているものと思われます。

4 認定高度再資源化事業者又は前項に規定する者(産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行う者に限る。)は、政令で定める基準に従い、当該収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない。
この場合において、廃棄物処理法第十六条の二第一号及び第十九条の五第一項の規定の適用については、同号中「産業廃棄物処理基準又は」とあるのは「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(令和六年法律第号)第十三条第四項の政令で定める基準又は」と、同項中「産業廃棄物処理基準又は産業廃棄物保管基準」とあるのは「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律第十三条第四項の政令で定める基準又は産業廃棄物保管基準」とする。

この条項は廃棄物処理法とともに、この再資源高度化法を読み込んでいないとなかなか理解できないかもしれません。私も不明な点はあるのですが、一つ一つ解説していきましょう。

まず、主語は認定事業者とその受託者です。
この2人は前述の通り、一般廃棄物、産業廃棄物ともに「許可不要者」でしたね。廃棄物処理法の処理基準(たとえば、産業廃棄物の収集運搬時には車両表示をしなければならない等)が適用になる人物は、排出事業者や許可業者等に限定されます。
認定事業者やその受託者は、廃棄物処理法の規定では処理基準が適用されないことになってしまいます。そこで、認定事業者とその受託者には、再資源高度化法の政令により新たに「基準」を設定し、それに従え、という規定です。
たいていの廃棄物処理法で定める処理基準と同じ内容を再資源高度化法の「基準」にするものと思われます。

ただ、「廃棄物処理法第十六条の二第一号」と「第十九条の五第一項」の規定の仕方がちょっと違っているのです。

廃棄物処理法第十六条の二第一号とは、いわゆる「野焼き禁止条項」の規定ですが、推測するに再資源高度化法では、廃棄物処理法に規定する焼却施設の基準にはあわない構造や維持管理の施設を想定しているのでは無いでしょうか。

第十九条の五第一項とは「措置命令」の規定ですが、こちらは命令の前提として「産業廃棄物処理基準」「保管基準」に合わないことを要件の一つとしています。再資源高度化法では「廃棄物処理法の基準プラスα」を「基準」とすることから、その「プラスα」に違反しているときも措置命令の対象とするために、このような「読み替え規定」を置いているのだと思われます。

第5項から第8項までは、前述の第4項と同じように「認定事業者」「認定事業者からの受託者」について、一般廃棄物・産業廃棄物処理業許可業者と同じルールが適用される、という「みなし規定」「読み替え規定」が続きます。

第5項、「認定事業者」について、一般廃棄物の委託基準、処理基準、備付帳簿、名義貸し。
     産業廃棄物の委託基準、処理困難通知、無許可受託、備付帳簿、名義貸し。
第6項、「認定事業者からの受託者」について、委託・受託の関係は出てきますが、5項とほぼ同じ。
第7項、「認定事業者」についての改善命令。
第8項、「認定事業者」についての措置命令。

第9項は既に紹介していますが、廃棄物処理法ではとても大きな事項なので改めて原文を紹介しておきましょう。

9 第十一条第二項第九号に掲げる事項が記載された高度再資源化事業計画について同条第一項の認定を受けた認定高度再資源化事業者は、廃棄物処理法第八条第一項又は第十五条第一項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、認定高度再資源化事業計画に記載された当該廃棄物処理施設を設置することができる。

廃棄物処理法第八条第一項 → 一般廃棄物処理施設設置許可
     第十五条第一項 → 産業廃棄物処理施設設置許可

処理業許可については、「その2」でお伝えしたとおり今や大きく分けても10,細かく分けると80ほど「許可不要制度」があるのですが、処理施設の設置許可不要は環境大臣の再生利用認定と無害化認定だけでした。
この度、再資源高度化法でこの制度を追加したことはとても大きな「改正」と言えるでしょう。ただし、「設置許可」自体は不要でも、その手続きについては、次条以下に登場しますが、それほど「規制緩和」「合理化」という訳では無いようです。

大切なポイントなので、省略せず原文で紹介します。

10 前項の場合において、認定高度再資源化事業者は、廃棄物処理法第八条の三、第八条の四及び第九条の二の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)又は廃棄物処理法第十五条の二の三、第十五条の二の四及び第十五条の二の七の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、一般廃棄物処理施設の設置者(廃棄物処理法第九条の四に規定する一般廃棄物処理施設の設置者をいう。第十八条第六項において同じ。)又は産業廃棄物処理施設の設置者(廃棄物処理法第十五条の二第五項に規定する産業廃棄物処理施設の設置者をいう。第十八条第六項において同じ。)とみなす。

廃棄物処理法第八条の三   → 一般廃棄物処理施設の維持管理規定
      第八条の四   → 一般廃棄物処理施設の記録と閲覧
      第九条の二   → 一般廃棄物処理施設の改善命令
廃棄物処理法第十五条の二の三→ 産業廃棄物処理施設の維持管理規定
      第十五条の二の四→ 産業廃棄物処理施設の記録と閲覧
      第十五条の二の七→ 産業廃棄物処理施設の改善命令

第14条は環境大臣が指導及び助言を行うという規定。この条文には都道府県や市町村は登場しませんが、そもそも扱う物が産業廃棄物であれば都道府県、一般廃棄物であれば市町村に廃棄物処理法で指導監督権を規定していますので、現実的な現場指導等はやはり自治体も同行することになるのかなと思っています。

面白いのが次の第15条です。

(適用除外)

第十五条 この節の規定は、特定家庭用機器再商品化法第二条第四項に規定する特定家庭用機器が廃棄物となったものについては、適用しない。

「この節」とは第11条からの「高度再資源化事業計画認定」に関する規定です。「特定家庭用機器再商品化法」とはいわゆる「家電リサイクル法」で、「特定家庭用機器」とはテレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機の4品目(プラス関連製品)です。
現在「各種リサイクル法」と呼ばれ、「許可不要制度」が規定されている法令には、容器包装、自動車、小型家電、食品リサイクル法、それにプラ資源循環法もあるのですが、どうして家電リサイクル法だけを「適用除外」としたかは「なぞ」です。


個人的には、ここはとても興味のあるところで、他の制度との重複、齟齬が出てしまうのではないかと若干危惧しているところではあります。

今回(その4)のまとめ

  1. 「高度再資源化事業計画認定」後も変更があれば、変更認定等の手続きが必要。
  2. 「高度再資源化事業計画認定」を受ければ一般廃棄物・産業廃棄物ともに処理業許可不要。
  3. 「高度再資源化事業計画」を受ければ、認定事業者からの受託者も一般廃棄物・産業廃棄物処理業許可不要。
  4. 「高度再資源化事業計画認定」を受ければ一般廃棄物・産業廃棄物ともに処理施設設置許可不要。
  5. 業の許可不要、施設設置許可不要ではあるが処理基準等は許可業者とほぼ同じに適用される。
  6. 家電リサイクル法対象だけは適用除外。(現時点では詳細不明)