リヴァックスコラム

第30回 「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」について聞いてみよう その6

長岡 文明氏

リヴァックスコラム愛読者の「むつご」さんからのご質問を受けて、再資源高度化法を取り上げています。
今回も継続して、法律条文を確認していきましょう。
なお、条文の原文は長いのでネット等でご確認下さい。「BUNさん流簡略表現」になることをご了解下さい。

再資源高度化法逐条確認(第20条~第37条)

第20条からは「第四節 再資源化工程高度化計画の認定等」の話になります。

(再資源化工程高度化計画の認定)
第二十条 廃棄物処理施設の設置者であって、当該廃棄物処理施設において、再資源化の実施の工程を効率化するための設備その他の当該工程から排出される温室効果ガスの量の削減に資する設備の導入(以下「再資源化工程の高度化」という。)を行おうとするものは、環境省令で定めるところにより、再資源化工程の高度化に関する計画(以下「再資源化工程高度化計画」という。)を作成し、環境大臣の認定を申請することができる。

この「再資源化工程高度化計画の認定」も法律条文を見慣れている人以外は、直ぐには何を言っているか、何を意図しているのか判りにくいと思います。
それは、これ以前の「再資源化事業認定」、「高度分離・回収事業認定」もそうでしたが、知りたいことが後から登場するからなんです。

しかも、「できる」規定ですから、しなくてもいい行為な訳です。

ですので、先に次の条文を見ていただきましょう。

(廃棄物処理法の特例)
第二十一条 前条第一項の認定を受けた者(第四十三条第一項第一号ハにおいて「認定再資源化工程高度化計画実施者」という。)は、当該認定を受けた再資源化工程高度化計画(同号ハにおいて「認定再資源化工程高度化計画」という。)に従って行う設備の導入については、廃棄物処理法第九条第一項又は第十五条の二の六第一項の許可を受けたものとみなす。

これで理解しやすくなったと思います。

「認定再資源化工程高度化計画実施者」は「一般廃棄物・産業廃棄物処理施設設置<変更>許可を受ける必要が無い」んです。

以前も書きましたが、処理施設設置許可は処理業許可取得よりはるかにハードルが高いです。変更許可も新規設置許可と同等に相当大変な手続きです。この許可を取得せずに済むと言うことは大きなメリットです。

では、どうやったら許可を取らずに済むのか、認定を受けることができるのか、これが先に見た第二十条になる訳です。

改めて20条を見てみると「廃棄物処理施設の設置者であって」とありますね。
字面だけを見る限りは既に処理施設を設置している人物が対象となります。新たにこれから設置するのであれば「廃棄物処理施設を設置しようとする者であって」となると思いますので。条項を見ても「廃棄物処理法第九条第一項又は第十五条の二の六第一項」とありますから、新規設置ではこの規定は対象にならず、既に設置している処理施設の変更(改造、増設等)が対象だと思われます。

次に「再資源化の実施の工程を効率化するための設備」と言うことで設備が限定されています。そして「温室効果ガスの量の削減に資する設備の導入」とあります。これをBUNさん流に書き表せば、次のようになります。

廃棄物処理施設設置者が今よりも温室効果ガスが減る設備の導入をする時は廃棄物処理法の処理施設設置許可は要らなくするよ。」です。

もちろん、どんな設備でもいいと言う訳ではなく、申請して審査して認定が取れれば、ということです。その申請の手続きや審査の基準等が第20条第2項、第3項に規定しています。

次の第22条からは、ここまでとはちょっと違う話となります。

第五節 登録調査機関
(登録調査機関の登録)
第二十二条 環境大臣は、その登録を受けた者(以下「登録調査機関」という。)に、第十一条第一項若しくは第十二条第一項、第十六条第一項若しくは第十七条第一項又は第二十条第一項の認定の審査に必要な調査のうちこれらの認定の申請の内容(第十一条第二項第四号、第十六条第二項第四号又は第二十条第二項第四号に規定する指標に関する部分に限る。)がそれぞれ第十一条第四項第二号(第十二条第四項において準用する場合を含む。)、第十六条第三項第二号(第十七条第四項において準用する場合を含む。)又は第二十条第三項第二号に掲げる基準に適合しているかどうかについてのもの(以下「調査業務」という。)を行わせることができる。

日本語としていかがなものかって文章ですよね。いきなり「その登録」と登場します。「その」と代名詞を使われれば、既に述べられている「○○登録」のことですよね。ところが、この条文より前には「この」登録の話は出てこないようなんですね。ミステリー小説には時々出てくる「倒叙法」のようです。そこを我慢して読んでいくととりあえず次のことを言っているのだと判ります。

「環境大臣は、登録調査機関に調査業務をやらせる」です。

何を調査させるのか?条文を確認していきましょう。

第十一条第一項→「高度再資源化事業計画」
第十二条第一項→「高度再資源化事業計画の変更」
第十六条第一項→「高度分離・回収事業計画」
第十七条第一項→「高度分離・回収事業計画の変更」
第二十条第一項→「再資源化工程高度化計画」

です。

つまり、法律上の認定の権限は、環境大臣にあるけど、実質的な審査は専門機関に「下請」させます。と言うことです。

「下請」と言うと、悪い印象を持たれる方もいるかもしれませんが、もちろん最終責任は元請である環境大臣が負いますし、最初からそれを法律に規定しておく訳ですから、国民みんなが容認した手法、となる訳です。
また、分かり易いように「下請」という文言を使いましたが、条文にもあるとおり「認定審査」全部では無く、技術的な部分に限定しています。

そうは言っても、一部とはいえ公権力を「下請」に出すわけですから、誰でもいいというわけにはいきません。(現実的には環境省の外郭団体である公益法人等になると予想されますが・・・。)

それで、次の第23条から第37条までは、「登録調査機関」に関する規定が続くことになります。一般の方は、この部分は読み飛ばしても支障ないと思いますので、このコラムでも省略させていただきます。

今回のまとめ

  1. 「再資源化工程高度化計画」という大臣認定制度を創設。
  2. 「再資源化工程高度化計画」を受ければ一般廃棄物・産業廃棄物ともに処理施設設置<変更>許可不要。
  3. 「再資源化工程高度化計画」は全くの新規設置は想定していない模様。
  4. 「高度再資源化事業計画」「高度分離・回収事業計画認定」「再資源化工程高度化計画」を審査できる「登録調査機関」制度を創設。

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