リヴァックスコラム

第37回 重要通知「許可事務通知」で復習 その5

長岡 文明氏

みなさん、こんにちは。
令和2年3月に発出された「許可事務通知」について見てきています。
今回はどういう話ですか?

前回までは、「第1 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業の許可について」の
「1  許可の申請」についてでしたが、
今回は次の「2 許可の性質」というところを見ていこうか。

どれどれ、「許可の性質」・・・

うわぁ。何言っているか、さっぱりわかんないよ。どう言うこと?

「許可」と聞くと、「お上から頂く有り難いもの」と江戸時代のように思っている人は居ないとは思うけど、それでもなんとなく「お上の思うとおりにしないと・・・。お上に気に入ってもらわなければもらえない。」のように感じている人は結構居るような気がする。

改めて言われると、私もそんな風に捉えていたかも。

まぁ、それが「裁量権がある」ってことかな。
さすがに「気に入っている人物には出すけど、気に入らない人物には出さない」は言葉が過ぎるけど「行政指導に従わない人物には許可しない」レベルは現実に今でもあり得るケースだね。

本来、行政指導は相手の同意があって初めて成立するものだから、強制力は無いし、従わないからと言って許可しないなんてことはあってはいけないことなんだ。

たとえばどんな事例があるの?

そうだなぁ。
昭和の終わりから平成の中頃までは全国的に時々見られた事案としては、次のようなものかな。

処理施設設置にあたり、正式な許可申請の前に、付近住民の同意書を取ってこい。そうしないと設置許可は出さない・・・とか。県外産廃搬入事前協議が遅れたから、処理業更新許可を出さない・・・とか。

なるほどね。なんか、今でもやっているところ、あるような気もするけど、そういう「裁量権」を都道府県知事に与えている制度では無いよってことなんですね。

でも、その前に書いてある「基準に適合する施設及び能力」や「欠格要件に該当しない」は、これは「裁量権」とは違う話なので整理して覚えておいてね。
また、ここに登場する「要件」と「条件」も違うものなので、この点も注意ね。

折角ですから、復習、整理も含めて解説してくださいな。

(あぶない、あぶない。
ここで逆に質問されたら問い詰められるところだったわ(;^_^A))

これらはこの通知の後ろの方で改めて登場するけど、簡単に紹介しておきますか。

まず、「基準に適合する施設及び能力」ですが、
これはたとえば収集運搬であれば、ダンプカーやトラックはありますか?
風呂敷一枚では収集運搬業は出来ないでしょ。経営者は一般廃棄物と産業廃棄物の区別位は着きますか?明日明日倒産するなんて経営状態じゃ無いですよねってことです。

「欠格要件」は、許可を取り消されて5年経っていない、とか、不法投棄で捕まって刑務所から出てきたばっかりだ、とかいう状態では無いですねってことですね。
「要件」と「条件」は日本語としては似ているのですが、廃棄物処理法の処理業許可に関しては、次のように覚えていていいかも。

「要件」とは、許可を取る人全てに求められる事項。前述の事項ですね。
「条件」とは、その許可を取った人物にだけ適用される「枠」「制限」事項。
たとえば、「道路騒音の関係から搬入時間帯は10時から14時までとする」のような事項だね。なお、処理業許可の条件は生活環境保全上の観点から付けるものに限られる、というのが定説ですが、この詳細については改めて取り上げましょう。

「通知」の本文に戻るけど・・・。
今、解説して貰った「基準」や「欠格要件」は、許可申請の時の「要件」だから審査の対象になるけど、その他のその自治体独自の行政指導事項などを「許可する」「許可しない」の判断要素にしてはいけませんよってことですね。

そのとおり。それじゃ、今回の「まとめ」をしておこうか。

「許可の性質」なんて見出しだったから、「この許可は優しいですよ」とか「怒りっぽいですよ」とか「おとなしいよ」とかいう話かと思ったら違いましたね。

  1. 「基準」に適合し「欠格要件」に該当しないときは「許可しなければならない」
  2. 「基準」は「施設」と「能力」
  3. 「欠格要件」は、「許可取消」や「禁錮(環境法令や刑法等は罰金)以上の刑」等。(詳細は今回は取り上げていません)
  4. 「許可要件」に合致するときは、「許可しなければならない」。すなわち、都道府県知事に裁量権は無い。