リヴァックスコラム
第38回 「下取り」について考えてみよう
みなさん、こんにちは。
「BUNさんに聞いてみよう」というコーナーでやっていきているのですが
常連さんからこんなメールをいただきました。
第24回の「作業工程の下請」や、
第13回から第15回の「専ら再生4品目」について興味深く読ませていただきました。
行為としては似たようなものに「下取り」があり、疑問に思っていることがあります。
具体的には次のような事例です。
溶剤を顧客にドラム等の容器(通い容器ではない)で、定常的に納入しています。
顧客が中身を使用後、容器を返却となる場合、
法的に(下取り等を考慮し)、どの様な扱いになると考えられますでしょうか?
・返却された容器は、再利用はしない(廃棄)
・返却容器の運搬は、顧客が仕立てた委託運送、輸送費は顧客持ち
・当社から返却容器に対して代金は支払いません
また、同様なケースで、容器の中を洗浄してから廃棄する必要がある場合、
返却を受け洗浄後、廃棄する場合はどのような解釈になりますでしょうか?
はい、「下取り」はなかなか難しいですね。
と言うのも「下取り」は正式に条文で規定されている行為ではないからです。
ちなみに、リヴァックスコラムの2015年2月にも取り上げさせていただいています。
また、以前のコラムを抜粋して単行本にした「廃棄物処理法の重要通知と法令対応」の中で、共著者の尾上雅典先生が詳細に解説してくれていますので、そちらも是非参考にしてみてください。
尾上先生の解説を読んでいただければ解決かと思いますが、
単行本を買っていない人もいらっしゃると思いますので、改めて説明してください。
では、まず「下取り」通知を確認しておきましょう。
古くは昭和52年の疑義応答、直近では「産業廃棄物」に限定ではあるが、令和2年3月に通知がなされています。
[昭和52 年通知,改正最終平成10 年衛環第37 号問29通知]
問:いわゆる下取り行為には収集運搬業の許可が必要か。
答: 新しい製品を販売する際に商習慣として同種の製品で使用済のものを無償で引取り、収集運搬にかかる下取り行為については、収集運搬業の許可は不要である。
[令和2 年3 月30 日]
産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)
(途中略)
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。
記
第1 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業の許可について
15 その他
⑵ 新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること。
この通知で明確ですが、下取りが成立するためには
①新しい製品を販売する際
②商慣習として
③同種の製品で使用済みのもの
④無償で引き取り
⑤収集運搬する
という5つの要素があって、はじめて「下取り」は成立するというのが通説です。
このことを踏まえると、今回の具体的な質問の状態では「下取り」にはあたりません。
なぜでしょう?
「販売」しているものは容器に入っている商品であり、
その商品は消費されていますから「使用済みの商品と…」という下取りの要因にあてはまりません。
ペットボトルに入ったジュースを販売している会社がペットボトルを回収する行為は、「通知」でいう「下取り」にはならないってことですね。
販売しているのはジュースで有り、ペットボトルではない。
なんか、屁理屈みたいですけど、まぁ、次に進めてください。
「下取り」というのは、原則的には、当該容器は利用者が排出する廃棄物という概念で、
その人物以外が処理する場合には処理業の許可が必要になるでしょう。
でも、以前のコラムで何回か教えてもらったけど、
廃棄物処理法では排出者を明確には規定していないんでしょう。
そうですねぇ。
たとえば、
当初から「御社から買い入れる物は内容物だけであり、容器は御社が引き取ること。」のようなルールを定め、それ以外の廃棄物が入り込まない体制を確立できるのであれば、容器の所有権、占有権は販売者側に保持したまま、よって、質問のような排出形態ならば販売者側が「自社処理」とすることも可能だと思われます。
ん?でも、その形態は「下取り」じゃなく、
「排出者は誰か?」ってことに重点がおかれた見解ですよね。
実は、質問者の<むつご>さんへBUN先生の見解をあらかじめお示ししたら、
更なる質問も寄越しているんです。
販売者の「下取り」が成立しないような場合に、
不要となったものを従業員が欲しいと申し出た場合、譲渡していいのでしょうか?
質問の会社が排出事業者であるなら、総合判断説により判断し、有価物と判断されるのであれば、譲渡してもよいでしょう。
しかし、「譲渡」が表面上だけのことで、処理料金と判断される金銭が渡されているような場合は、廃棄物の処理の委託と判断される場合もありますから注意してください。
そもそも「物」が有価物か廃棄物かって話になっちゃうな。でも、あり得る話ですよね。
質問は「ドラム缶」ってことだけど、家庭菜園をやってる人なら、落ち葉を入れておくために1個だけ貰いたいとか、古くなったテレビで会社じゃ買い換えるから要らなくなるけど、まだ使えるなら家で使いたいとか。
でも、このBUNさんの回答は「質問の会社が排出事業者であるなら」ってことでしたね。
違う場合ってどんなケース?
質問の会社が廃棄物処理業者である場合は、ちょっと話が違ってきます。
その「物」は少なくとも,元々の排出者から排出される時点では、排出者(占有者)の意志としては「不要である」という認識の元で、全体として「処理を委託」していて、かつ、委託契約書も締結しているはずです。
そうだよね。産業廃棄物の処理委託時には委託契約書とマニフェストは必須だね。
そのため、そういった「物」から一部を引き抜く場合は、元々の排出者に確認することが求められるでしょう。
廃棄物から引き抜き行為は、過去に「ハムカツ(食品廃棄物の不正転売事案)」や「暗視用カメラ(廃棄処理することとしていたカメラ装置のオークションへの流出について)」で事件にまでなった事案もありますから、十分に注意してください。
なるほどね。いくら「貰いたい」って人が存在しているとしても、少なくとも元々の所有者は一旦「要らない」「不要」と意思表示している訳だし、廃棄物として処理してくれることを前提として処理業者に委託している訳ですしね。なかなか難しいですね。
むつごさん。こんなところで納得いただけましたでしょうか。
皆さんも廃棄物処理に関して質問があったら聞かせてくださいね。